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「とってもウ○ナミ」

2015.12.06
トモ榎並

「そうですね。あれは確かまだ紫焔が日本橋の四丁目劇場でやってたときですね。
その日の興行が終わってリングを片付けようとしたら、リングの側に彼が居たんですよ。
独りでブツブツ喋ってるもんだから、初めはどこかの浮○者かなと思って恐くて近寄れなかったね。」

「次に会ったのは何日かしてからの別興行の時で、普通に控え室に紛れ込んでましたね。
その日は彼のカードが組まれてて、試合前になるといきなりフローリングの床で受け身をとりだしてね。周りの選手がドン引きしたのを覚えてますよ。」

「ん~、仲は良い方だと思います。当時彼に話しかける選手が誰もいなかったんで、僕から話しかけたらやけになついちゃって。
今でもダンナ、ダンナって言いながら寄ってきますよ。
すっかり打ち解けたのはハートさんと一緒に練習するようになってからですね。
僕がショートタイツを履いたら、彼も真似して履きだして。二人してハートイズムを継承するとかなんとかで…まぁ今となってはどうでもいい話なんですけど。」

「今彼が被ってる毛の付いたマスクあるでしょ?あれ僕があげたんですよ。ヤフオクで確か1500円で落札したやつなんですけどね。
そしたらね、お返しをくれたんですよ。
ダンナにはいつも世話になってるから…とか言いながらね。
律儀なやつだなぁと思ってたら、トラック野郎のTシャツを渡されたんですよ。
いや、これお前がいつも練習の時着てるやつじゃねえか!
何で御古なんだよって思ってね。あの時は笑っちゃったなぁ。
でもね、僕は菅原文太が大好きだったんで凄く嬉しかったですよ。文太兄いが亡くなってすぐの世界館興行の時にそれ着て入場しましたよ。追悼の意を込めてね。」

「プライベートは全くわからないよね。知らない。
あの体を見ればわかるんですけど、トレーニングは真面目にやってるみたいなんですよ。
ハートさんのジムにはよく出入りしてるみたいで。
他に話というか色んな噂を聞くんですけどね。
新世界でゴミを拾ってるのを見たとか。
会社を起こして稼いだお金の全部を孤児院に寄付してるとか。
アパートの管理人やってる未亡人と結婚したとかね。
噂なんで実際のところはわからないですよ。ホント謎ですね。」

「ん~、タッグで組んだこともあるし、あたったこともありますよ。シングルも2回あたったけど、やっぱ強いよね。
基本が出来てオールマイティに何でもこなすからさ。何より体がデカイ。
最初のシングルだったかな。アイツの蹴りがいいとこに入っちゃってカチンときてね。思いっきりひっぱたいてバックドロップで3カウント取ったんですよ。
だけどお客さんの反応が今一つだった。
なんでお前が勝つんだよ…みたいなね。
その時から彼にはお客さんを惹き付ける、周りを味方につける何かがあったんだよね。」

「2回目はこの前のナニワ区民祭りでの試合ですよ。
試合前からテンションが凄く高くていつもの彼じゃなかった。試合は完全にやられましたけど、やってて楽しかったですよ。
お客さんの反応も良かったし…今年の僕のベストバウトですよ。うん。」

「そうそう。ウマイェって技は僕が一緒に考えたんですよ。そのナニワ区民の試合で初めて出したんだけどね。
初披露した試合で考案者を倒すっていうね。まいっちゃったよ。ホント。」

「かなりきてるよね。人気が。この前の僕とのシングルマッチからだと思うよ。いやホントに。
あの試合でね、彼が色々教えてくれたよね。
大事なのは個性を持つことだって。
あと一つのことをずっとやり続けるってこともね。
だからさ、今の紫焔の若い子に言いたいよね。
彼が今なぜあんなに人気があるのか。もっと視野を広げて考え方を改めないといけないよってね。
彼を見てるとホントに勉強になりますよ。」

「今度闘うあの人にも言いたいよね。
そんなに軸がブレてちゃ俺には勝てないよって。
だからさ、次やる時はお前のプロレスを全部ぶつけてこいって。全部受けてやるよって。ホント思いますよ。
そんな感じでね、次はやってやりますよ。うん。」

 

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