マロじゃ。諸兄らは珈琲は好きかのう。私は以前コラムにも寄稿しておったと思うが、夜の心休まる一刻には珈琲は欠かせぬ。そのような、巷ではポピュラーな嗜好品として認知されておる珈琲という飲料であるが、この度、とある筋より、究極の珈琲ともいうべき代物を横流しいただいたのじゃ。
「ブルボンポワントゥ」
そう冠した珈琲は「一粒の宝石」と言われる程の逸品で、レユニオン島、またの名をブルボン島で栽培されておったそうじゃが、1942年の輸出記録を最後に後の記録が途絶え、存在を消した幻の珈琲じゃわい。その幻の逸品を神戸のメジャー系珈琲メーカー、UCC珈琲 が、世に再び送り出す事に成功したのじゃ。そのような貴重な代物が、我が城のキッチンに調味料と並んで普通に置かれておる。うむ、非常に満悦じゃわい。フォッフォッフォッ(^O^)
そのブルボンポワントゥ、かつては名だたる王侯貴族が寵愛した嗜好品だったそうじゃ。全く私の体内に取り込まれ、水分の一部となるに相応しい、高貴な珈琲じゃわい、重ねて満悦じゃのう。
その中でも、同封の冊子に書かれていたのじゃが、仏のルイ15世と文豪バルザックがこよなく愛した逸品との事じゃ。ふむう、ルイ達と言えば、太陽王と言われ、巷で言う絶対王政じゃったか、「ちんは国家なり」とか何とか言う14世と、マリーアントワネットの旦那で、ギロチンドロップで人生の3カウントを聞いた16世は私もよく知る仲なのじゃが、14世の曾孫らしいが15世・・・・あまり知らんのう。政治に疎いバカ殿であったそうじゃが、チンコっ家な14世に、ギロチンドロップで首が落ちた、ユーコンエリックも真っ青の16世、両者に比べると、どうも胡散臭いインディー系カイザーの臭いがぷんぷんするわい。
そしてもう一人の文豪バルザックなのじゃが、倉内がこの名を聞いた刹那、「あぁ、ヒャダルコ唱えられますよ。」とバルザック違いな発言を。それは某メジャー系ゲームの敵の化け物のバルザックじゃろうが。全く気分を害したわい。
話が本筋よりかなり逸れてしもうた故非常に恐縮じゃが話を戻すとするわい。
そしてとうとう、そのような高貴な先人達が愛したブルボンポワントゥを私も味わう至福の時刻に恵まれたんじゃ。
非常にいやらしい話なのじゃが、このブルボンポワントゥ、価格の方も幻の逸品に相応しいもので、百㌘何と7350円という極めて暴力的な価格故、目玉が飛び出そうになったわい。これは私が認める神戸の珈琲店の雄、にしむら珈琲の最高峰、ブルーマウンテンの三倍以上の価格じゃ。にしむら珈琲のブルーマウンテンを初めて口にした際は、あまりの深い味わいに衝撃を受けたものじゃが、価格のみを見ると、これを口にしてしもうたら私は死んでしまうのではないかと思うたわい。期待はいやがおうにも高まっていくのう。ふん。
倉内と材井という、些かこの高貴な雰囲気にはそぐわぬ輩を召喚してしまい気分を害しながらも、遂に幻の珈琲が我々の口に運ばれたのじゃ。
・・・・・・、
うむ・・・・・・、
珈琲特有のあの強い香りがあまりしないのう。始めは倉内の珈琲の煎れ方に非があり、奴を吊し上げようと思うたのじゃが、どうやら昔の珈琲とは、現在のものとは違い、どちらかと言えば茶に近かったようじゃ。故にカフェインは半分程しか無く、酸味がきつい。ブラックで飲んでもさほど苦味を感じずまさに茶の延長といった所じゃったわい。
故に、現在の香り高き珈琲が巷に跋扈するようになり、またそれをを嗜好するようになった現代人には物足りない代物かも知れんのう。確かに高貴な味は感じ取れるのじゃが、私自身の意見でも、にしむら珈琲の方が上に感じたわい。ふん。
まあ例えるなら、かつての車で、ハコスカGTRや2000GTは希代の名車じゃろうが、現代のものと比べると、スペックで言うとカローラ程、もしくはそれ以下になってしまうかも知れぬ。現代のものと比べると、異次元のものに感じてしまうかも知れぬ。しかし紛れもなくそれは超が付く一流なんじゃ。またその幻の逸品を凌駕する程の珈琲を安価で堪能出来る我々の果報さを、もっと感じねばならぬじゃろう。
ブルボンポワントゥ、楽しませて貰うたわい。至極満悦じゃわい。ふん。