突撃!クレーンゲームの巻

 好きなナガシマはスパーランド。上田馬之骨でございます。先日、行列の絶えないおでん屋さんの行列が絶えていたので、立ち寄ることに。噂に違わぬ美味であった。一つの鍋に色んな具材が煮込まれているのに、それぞれの味があって、何を食べても美味しかった。出汁の味は一つだが、味の数は具材の数だけあるのだ。考えてみれば不思議である。

 プロレスはおでんだ。リングという鍋があって、団体という出汁の中で、レスラーという具材が煮込まれている。そしてお客さんの好みがある。おでんでも、あっさりとした淡麗な味付けの出汁もあれば、黒々とした濃い味付けの出汁もある。そしてどちらかでないと光らない具材もあれば、どの出汁でも存在感のある具材もある。大根なんかがいい例だ。

 紫焔という出汁は、どちらかと言えばお客さんを選ぶ味なのかもしれない。確実にヨソにはない味だからだ。だからこそ、具材も偏りがち。個性あるラインナップだ。しかし、変わり種も最初は抵抗があっても、時間が立てば定番になる。私は未だにロールキャベツやウインナーは許せないのだが、既に市民権を得ている。コンビニでも置いてるぐらいだ。

 そして今の紫焔マットは定番具材が支配的である。ヨソのレスラーはいわば定番具材。どんな出汁にも合うから、色んな団体に出ているというわけだ。上の方で試合が組まれている連中も同じで、他団体に出る機会が多いのもそういうこと。だからこそ、私の様な紫焔でしか味わえない具材がもっと光る必要がある。しかし残念なことに、今の私の味だと、出汁に合っていないとしか言えない。そこは、もっと出汁に合わせる必要があるのかと。たとえ個々の味が立っていても、出汁と調和しなければ、それはおでんではないのである。

 というわけで、今回はおでんについて熱く語ったわけだが、前述のおでん屋さんで気に入ったのは春菊。食材としては平凡だが、おでんの具材としては非常に珍しいと思われる。これは煮込むのではなく、さっと出汁で湯がくのだ。シャキシャキとした歯ごたえと、噛むとにじみ出る出汁の調和が絶妙であった。私は春菊になりたい。

つづく

【次回予告】
もぐら番長、宝を求めて穴を掘る。
次回「シベリアの汽笛 」にご期待ください。

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