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君はソプラノ戦士を知っているか?

2021.02.12
マロ栗山

冒頭でまずは釈明を。
先週のブログで、俺の学生時代からの先輩である、ハカイダー伊藤氏の引退興行、仕事の都合で行けねえと書いておったが、直前になって予定が無くなり急遽休みになった。故にちょっと顔出して参りました。いやこれはホンマに3日前くらいに休んでええって言われたんですよ。ホンマにホンマですよ。
気分を害したわい。
てなわけで冒頭の挨拶もそこそこに、先週の予告通り今回のブログはちょっと昔話をしようかのうと。

 

 

 

 

 

 


紫焔ファンの皆様御機嫌よう。

 

 

 

 

 

鬼畜大帝マロ栗山です。

 

 

 

 


もう26年もしぶとくしがみついておったらのう、気が付けば周りは皆年下、後輩ばかりで、先輩と言える人がもう殆どおらんのである。まあ当時の同期ももう現役でやってるのはおらんのだけども。
年齢は上でも、キャリアが下って人はそこそこおるが、現状年齢もキャリアも上ってのは、四半世紀やり合っておる宿敵タイガーハートくらいか。そしてまた、俺の古巣である古き良き、大阪学院大学プロレス研究会OWF(故人)を知る人がまたリングを去ることになりましたわい。

 


ハカイダー伊藤、俺が大学1回生でOWF(故人)に入った時の4回生、前年までは会長やられてたと。
通常4回生ってこの時期は就職活動で忙しく、新入生歓迎会以外で顔合わすのは大学後期になってからっちゅうのが普通で、練習見たりとか色々面倒見てくれるのは、その下の3回生がメインなのであるが、伊藤さんともう一人、OWFのレジェンド(あ、伊藤さんもレジェンドですよ補足しておくと)、ダイナマイト兼元さんはいっつも顔出してはったのう。まあ俺は兼元さんのフランケンシュタイナーを直に見てOWF入ろうって決めたのも懐かしい思い出じゃ。
確か我々1回生が入部後皆ビデオ(時代を感じますのう、気分を害したわい)に、今後どうしたいかちゅう抱負みたいなんを撮ったのだが、俺は将来、兼元さんみたいなメインイベンターになりたいって言うとったな確か。
どうかのう、今、俺はそんなレスラーになれていますか?


て、今回は伊藤さんの話やったのう。
話題を修正せねば。
伊藤さんと言えば、「須磨のガストで勝手に牛乳飲み事件」とか、「豊中の王将で店員に元気出して行こうぜ事件」などプライベートでその浮世離れした言動は枚挙にいとまがないが、今回はプロレスのエピソードだけっちゅう事で割愛させていただく。まあこれはいずれ機会があればのう。気分を害したわい。

俺のプロレスを観る側からやる側に転じた1995年、デビューの相手は、伊藤さんであった。
1回生3人と、3回生これまた大変お世話になったスーパーモモタロウさんを加えた、計4人まとめてのハンディキャップマッチであった。伊藤さんはあの時のリングネームは何じゃったかのう。ハカイダー伊藤以外に、ピエロちゃんやら13(サーティーン)やらオタクウォリアーやら、色々リングネームあったからのう。ああ、あの時はジャングルウォリアーだったかな。入場曲がモダンチョキチョキズのジャングル日和や確か。それから俺の同期の現ジャングルウォリアーが名前もらってたんやったかなぁ(この時はオジンガー平川)。
リングネームからして時代を感じるが、試合でも当時流行りの某教祖の空中浮遊とかやっててこれ今やったら絶対コンプラ的にNGやな。緩い時代でしたわ。


こないだツイッターで、俺の鬼畜大帝のルーツはある意味伊藤さんだと呟いたのだが、それはこの、デビュー戦の相手が伊藤さんだったからと言うわけではない。この理由についてはちゃんと後で書くわ。
気分を害したわい。


そんな感じで、無事デビュー戦も終え、さあこれから俺の、今現在から考えれば、とてつもなく長い長いプロレス人生が待っておるのだが、それは当然の如く順風満帆とは行かんかった。
のっけからけつまずく事態となっていくのである。

 

何故かと言うと、当時の俺には、決定的で致命的な欠陥があったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

対戦相手に思い切り打撃を打ち込んでいけない。

 

 

 

 

 

まあ先の伊藤さん引退興行でも、てめえの試合でもねえのに、竹刀で大暴れしとった様を見せておったし、今では考えられんじゃろ。
そうだったのだ。俺は当時図体は同期の中で飛び抜けてデカかった(入部時85キロありました。デビューの時は90キロ超えてた)が、気が小さく思い切りチョップやキックを対戦相手にできずにいた。つい躊躇してしまうのだ。投げ技とかロープに振ってタックルとかは、そんなん手の抜きようと言えば語弊があると思うが、躊躇なんぞしたらこっちが怪我するし、投げ技寸止めなんて離れ業ようせんから、それはなんとか出来た。しかし、若手のペーペーなんやから、そんな大技も多用出来るわけもなく、それ以前に技のレパートリーも無く、気持ちが出るチョップやエルボーなんかの打撃技で活路を見出すのがセオリーであるが、その基本の基が俺は著しく欠落していた。


諸先輩方には、図体だけはデカかったので、ええのが来たでと大層期待もされていた。そんで俺含め同期が皆、手前味噌だが本当にOWFの歴史を変えた逸材ばかりであったので、誰が一番に上で使ってもらえるかっちゅうライバル意識も相当あった。
あの時の競争意識を紫焔の若手にももっと持って欲しいもんである。気分を害したわい。
その年の学園祭シリーズで、俺の同期2人がセミファイナルに組まれてたん見てマジで嫉妬に狂ったからのう。
で、そんな俺だが、他大学の学園祭で、当時の3回生、これまた大変お世話になった、ランバダウォリアーさん(リングネームに時代を感じるのう)と前座ではあるがシングルが組まれたのだ。
シングルでいわゆる当時の主力と初対決である。当時タッグ王者かなんかだったかな?いや違ったかな?まあそこは置いておこう。

ランバダさんは、183センチ100キロと恵まれた身体を持ちながら練習嫌い、痛いの嫌い、しんどいの嫌いと言う、往年の高野俊二や田上明を彷彿とさせるいわゆる未完の大器だったわけである。しかしながらそのナチュラルなパワーは充分上でも通用するものであった。当時、タイガーハート曰く、


「やる気があれば俺の首を取るのに1番近いのはランバダ」


と言うくらいの人だったのであるが、普段はいかつい風体とは真逆の、温和でとても優しい人。そんな人とのシングルでも、やっぱりいつもの打撃思い切り出来ねえ症状が出て、なんとも言えん消化不良試合になってしまったのである。

 


試合後、まあ優しいランバダさんやからまあ次頑張れよみたいな感じで接していただけると思うておったのだが・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「お前何で思い切り来なかったんだ!!!」

 

 

 

 

 

 

「何で思い切り打ってこない、マロ、何でや!!!」

 

 

 

 

 

 

めっちゃ怒られた。
あの優しいランバダさんに初めてめっちゃ怒られた。

 

 

 

 

 

 

実は、この学園祭シリーズを最後に、ランバダさんは大学を辞めて故郷に帰る事になっていたのだ。これは先輩や同期にも一切言っていなかった。学園祭シリーズ終わってから兼元さんと1回生だけ呼ばれて本人から伝えられたのである。
1回生みんな泣いたわ(ん、確か1人だけ泣いてなかったお前血の色何色や言う奴おったな、ちなみに俺ちゃうぞ、気分を害したわい)。それだけ皆お世話になった先輩との唐突な別れがショックだった。それよりも俺がひとしきり泣き終わった後思い出したのが先のシングルマッチの事である。


確かシングルマッチはランバダさんの希望で決まったって聞いておった。何てこった。俺は、ランバダさんが数少ないプロレスキャリアの残りの試合、しかもシングルではラストマッチで、指名いただいたのに無気力な試合をしてしまった。先輩の思い出の試合を潰した。最後に俺を選んだのも何か伝えたい事があったと思うのに。
これは25年以上経っても未だに後悔の念としてずっと俺の心の奥底に残っている。
今、鬼畜大帝の当たりが強いのもそれを払拭するためかも知れんのう。気分を害したわい。

 

 

伊藤さんの話が全然出てきてないよね。
いやこれから出るから。
ここまでは長い前振りって事で。

 

そんな事もあって翌年じゃ。2回生になってもそんな性格はすぐに矯正される事もなく、悶々と過ごしておった時、転機があった。


学校の昼休みでの興行ではあるが、初めてメインイベントに抜擢されたのである。


4回生スキンシップ安藤さんと組み、タイガーハート、ハカイダー伊藤組とのタッグマッチ。
OBベテラン世代と、現役生の世代闘争的な意味合いである。

俺の悶々とした心理を知ってか、伊藤さんが事前に、

 

「思い切り来いよ。俺は頑丈やから平気やから、イヤ、ホンマに。思い切り張ってこい」

 

そんで試合開始。序盤は安藤さんがうまいことリードしてくれてボロが出る事は無かった。試合中盤にちょうど俺が伊藤さんと絡んで、伊藤さんに馬乗りになる形になった時である。

 

 

 

 

 

 

 

 

思い切りビンタしてやった。
張り倒した。

 

 

 

 

 

 

 

めちゃくちゃ沸いた。

 

 

 

 


「2回生が先輩を思い切り張り倒しましたよー!」

「あとで怖いですよー、控室で説教ですよねー」

 

 

実況が上手くフォローしてくれ、その直後に全体重乗せたセントーン敢行。
これまた沸いた。

聞けば、昔セントーンで怪我をした先輩がいたらしく、長らく禁止技になっておったそうだが、そんなん知らんし、何や、伊藤さんは数々の禁止技を受け続けて次々解禁させてきたようなのだ。アンタはOWFの危険技のリトマス試験紙か。
同期でも、兼元さんは鍛え上げられた身体での強さ、説得力、加えてアメリカンプロレスの魅せる要素も持ち合わせてトップに君臨していたが、伊藤さんはとりあえず身体を張りまくる、無茶苦茶やって対抗していた生粋のハードコア気質である。
今の新しいファンはピンと来ないかもしれんが、真昼間の学内で火だるまにされたり(ちょろ焼きくん)、5メートル以上の建物の上からミサイルキックぶちかまして、コンクリに落下して全身強打したりもう無茶苦茶。典型的なディフェンダータイプのレスラーで、やられてやられて、しかし最後には勝つちゅう、奇跡の逆転ファイターなスタイルで客も感情移入しやすかった。20分の試合で18分やられ続けるが最後逆転勝ちっちゅう試合もあったのう(VSダイナマイト兼元のOWFヘビー級選手権)。
ただの昭和のヒールなおっさんちゃうかったでホンマに。そこファン歴の浅い諸兄らは覚えておいていただきたい。

 

んで、話を戻すが、その伊藤さんを張り倒した時、全身に電気が走ったのである。

 

 

 

 


人を思い切りぶちのめすって、何て、何て・・・・・、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


何て、楽しいのだ。

 

 

 

 

 

 

 

それ以降は何臆する事なく相手をボコボコにしまくるのが楽しくて楽しくて。
完全メイクで現在の姿になるのはもっと後の話ではあるが、俺の根底にあった鬼畜大帝の資質を引っ張り出したのは間違いなく伊藤さんである。おかげさまでこの後、逸材揃いの同期の中で、2回生にしてOWFヘビーのベルトも巻くことができた。これ当時のOWF史上異例らしいで。んで同期全員撃破して俺以外の同期は現役時代OWFヘビーのベルトを巻いていない。防衛回数も当時最長最多に延ばせた。最高の学生時代のキャリアも積めて自信にもなった。この時伊藤さんと当たっていなければ、タイトルに絡む事もなくキャリアも4年でスパッと終わっていたであろう。
そういう意味では、プライベートは色々おかしな人であったが、マロ栗山黎明期において欠かす事のできない先輩であり恩人でもある。本人がどう思っておるかは知らんけど。
気分を害したわい。

 

 


そんでもって時は流れて現在である。

当初参戦出来んてなったのに直前で予定が変わるなんてこれも何か運命の悪戯かのう。
現在紫焔からは離れて、OWF(故人)中心でやっておるので、現在ゆかりのあるメンバーはそちらの若いメンツが中心なのではあるが、あの人の昔も今も知っておる現役バリバリ言うたらホンマにハートと俺くらいちゃうんか。これはもう見届けましょうと、引退興行当日足を運んだ次第である。
とは言いつつ、ちょろっとセミでチャチャ入れはしたがのう。まあそんなんは今は割愛じゃ。
伊藤さんは最後まで伊藤さんやったな。
「今の」伊藤さん。
まあそれはホンマにらしくて良かったんじゃないでしょうか。
ただ散り際は、かつてのハードコアバリバリの伊藤さんと被りましたで。
晩年はファイトスタイルや振る舞いに結構苦言を呈したくなるような時も、今だから言うがありましたが、そんなんはもう忘れました。
これをもってプロレスキャリアにはピリオドを打ったかもしれませんが、俺のキャリアの中にはあなたの名前はしっかり残っております。
近い将来、俺がその立場になった時、また名前を引っ張り出してくるかもしれません。
ともかく、お疲れ様でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

追伸
引退興行にて、伊藤さん今度はもうホンマですよね、引退ちゅうことで、めっちゃ懐かしい顔が駆けつけておった。
俺が3回生の時の1回生、元祖イケメンレスラーのパンサー火浦、伊藤さんのさらに先輩、パワースラムが俺がこれまで見た中で1番美しい、ファイアーウォリアーさん、メルヘン久保さん・・・・・。


俺も昔に戻れました。
20年以上も経っておるのに、会って話したら一瞬で当時の自分に戻れた。
いい命の洗濯ができた。
そんでまた現在の鬼畜大帝に戻る。
モチベーションがめっちゃ上がりました。俺が生き字引としてもっとやらんとのう。
次の試合が待ち遠しいわ。まずは今週の釣りやけどな。
実は藤江のセコンド付いてたの、全員釣りBERTAって気付いた賢明な諸兄はおるか?
あとは伊藤さんの最後のマイク、最初に「あーあー」って音出てるか確認するん、あれ往年のファンやったら爆笑もとい感涙もんやで。
あとみんなハカイダーエルボー言うていじっとるけど、あれルーツはポールオーンドーフじゃからのう。かなり誇張しとるけど。

唯一心残りは、エルカミーノが紫焔復帰して死ぬ程ボコってやるのも乙じゃのうと思うとったがそれが無くなった事くらいかのう。
気分を害したわい。

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